海苔は江戸時代は漁師の経験と運で生産されていましたが、昭和にな
って養殖技術が上がり、機械化に伴って海苔も安定した生産スタイル
になりました。
食卓に届くまでの流れや 、どのようにして生産され海苔製品になるの
か順を追ってみたいと思います。
海苔といえば、西日本では有明がメジャーですね。
種付けも発祥の地でもある広い海、有明で行われているようです。
海苔を使った食物といえば何を連想されますか?
やはり、巻きずしやむすびではないでしょうか?
庶民の巻きずしは、包み網の上に海苔を敷き、すし飯を均等にのせ、
具には卵焼き、板かま、そして色合いに人参、ほうれん草と椎茸、
干瓢(かんぴょう)を煮て味付けし、包み網を転がし海苔で巻き出
来上がりです。
質素なあっさりした巻きずしが、年配者の美味しさというか家庭の味
と長年なっておりたくさん頂けます。(😁)
巻きずしの外輪となっている神秘的な海苔について、海の中でどのよ
うにして誕生、どのように成長して行くのかを調査し紹介してみます。
1.海苔生産スタートのから成長までの概説
秋口に入ると、いよいよ海苔づくりのスタート、春が訪れるまでの海
苔生産終了まで漁師さんは、片時の油断は出来ず忙しい毎日が続きます。
ノリ養殖はまず種づくりから始まります。
春にノリ種の元となる フリー糸状体(しじょうたい)をカキ殻の中に植
え付け、夏から秋にかけて有明海漁協の 培養場でカキ殻糸状体として
成長を続けながら、殻胞子(ノリ種)を つくります。
10月初旬、海水温が22~23℃台になるとカキ殻糸状体から殻胞子を放
出します。
それがのり網に付着し、のり葉体として大きくなります。
大きくなったのり葉体はやたらに再び自分の葉体から単胞子を出し、
のり網に付着します(一般に二次芽の着生と言います)。
これらの事を繰り返しながら、成長を続けます。
これが海苔の生活サイクルです。
2.海苔が食卓に届くまでのプロセスを詳しく
1) カキ殻内側ににフリー糸状体を植え付け、カキ殻糸状体として培養
(3月~9月)します。
フリー糸状態とはあらかじめ果胞子から作ったもので、試験管や三角
フラスコなどで長時間保存することが出来ます。
糸状態とは貝殻にもぐり込んでない前の状態をいいます。
これを直接カキ殻に植え付ける方法が一般的になっています。
果胞子とは、成熟したのり様体の中に雄と雌の細胞ができており、こ
れが一緒になり果胞子ができます。
2)10月初旬にはカキ殻表面からカキ殻子(ノリ種)が出てきて海苔綱
糸に付着します。
のり種が付いた網を1枚ずつにして、培養漁場いっぱいに広げます。
3)のりは日中の太陽光線を受けて、濃い赤みを帯びアミノ酸をたくさ
ん含んだ柔らかくて甘みのあるのりに育ちます。
4)のり芽が15cm~20cmに育ったら収穫をします。昔は手作業で重
労働でしたが、現在では機械でのり摘み作業が行われます。
5)摘んだのりは、全形一枚分の量に分けて「みす」の上にのせ、四
角いのりの形にすきます。
「みす」とは干枠のことです。
6)大型のり製造機械(全自動のり乾燥機)で水分をとり温風にあてて
乾燥し、乾燥のりに製造します。
7)検査場では、1束100枚として持ち込まれたのりの検査が行われ、
品質によって格付けした後、その地域の、のり協同販売場に出荷され
ます。
8)共販所では全国の大手問屋さんが集まり入札会が開催され、必要な
のりの品定めをして競争入札による買い付けが行われます。
9)買い付けされたのりは焼きのり、味付けのりなどに加工され容量・
安全性を確認後、スーパーや小売店に出荷され、私たちの食卓に並びます。
3.まとめ
1)海苔の出来る過程を簡単に説明しますと以下のようになります。
大きく成熟した、のり様体に雄と雌の細胞がありそれが、ひっついて
果胞子ができます。
海苔の最初の状態が誕生し感動します!
三角フラスコ内の果胞子をカキ殻にフリー糸状体(果胞子)を植え付
け、カキ殻糸状体として培養(3月~9月)します。
10月初旬にはカキ殻表面からカキ殻子(ノリ種)が出てきて海苔綱糸
に付着します。
のり種がついた綱を1本ずつ倍養魚場に広げ、海苔は無性的に成長させ
ます。
以上のようなプロセスでのりは伸び成長し収穫されます。
1年毎の周期(カキ殻から表面からのり胞子が綱に付着し成長、大
きくなった「のり様体」から再び単胞子を出し綱に付着これを無性的
に繰り返えす)循環で生産されます。
2)海苔漁師さんの仕事は寒い中で、海苔を収穫生産されており、労
働力の大変さが伝わってきます。
巻きずしを頂くとき、のりに感謝しないといけませんね!
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